OC Japan Fair 2025に見る、日系企業の海外展開における可能性
- Steve Moribe
- 4月10日
- 読了時間: 3分
2025年4月4日から6日にかけて、カリフォルニア州オレンジカウンティにて「OC Japan Fair 2025 Spring」が開催されました。南カリフォルニア最大級の日本文化フェスティバルとして定着している本イベントは、今年もアニメ、和食、観光、さらには伝統文化まで幅広い分野を網羅し、多くの来場者を惹きつけました。

昨年との比較:より広範囲からの来場者と深まる興味関心
本年は、来場者の属性や行動傾向に明確な変化が見られました。私は、私が支援している日系企業の現地ブースをサポートするため、実際に会場に足を運びましたが、そこで得た印象は、昨年に比べ来場者の出身地が広がり、車で2時間圏内を超える地域からの参加も多かったという点です。これはイベントの認知度向上と、継続的な需要の広がりを物語っています。

健康志向と抹茶文化の浸透:生きた市場データとしての試飲ブース
今回特に印象的だったのは、試飲ブースでの来場者の反応です。来場者の多くはすでに抹茶に親しんでおり、「抹茶は初めて」という人はむしろ少数派でした。会話する中で浮かび上がったのは、以下のような傾向です:
主な層は20~40代の女性
10代の子供の頃から抹茶を生活に取り入れているケースがある
健康志向が高く、有機抹茶を選んでいる人が多数
コーヒーの代替として抹茶を選んだ人が多く、飲み方はストレート派とラテ派は半々
茶筅(ちゃせん)を所有し、自宅で点てて飲む層も約半数ほど
一番茶と二番茶の違いを味覚で認識できた来場者がほぼ100%
このような反応は、アメリカにおける抹茶市場が単なる流行を超え、ライフスタイルの一部として定着しつつあることを示唆しています。
出展企業の少なさと、その活用可能性
OC Japan Fairの出展者は個人クリエイターやファン層が中心で、法人としての出展はまだ限定的です。これは逆に言えば、法人企業が目立ちやすい環境にあることを意味しており、ブランディングや商品認知の面で非常に高い費用対効果が見込めます。
特に、以下のような形での活用が有効です:
試飲・試食を通じたリアルな市場調査
ターゲット層に対するブランディングテスト
文化イベントとのタイアップによる印象付け
現地パートナー候補とのネットワーキング
政府支援と文化政策の一環として
イベントには、伝統的な人力車体験など、日本の観光文化を象徴するようなコンテンツも見られました。これは、地方自治体または観光庁などの政府支援による出展と推測され、今後の「観光 × 地域振興 × 海外PR」という三位一体の取り組みの好例として注目されるべきものです。
おわりに:企業は「文化の担い手」としての役割を
OC Japan Fairのようなイベントは、単なる販売・展示の場ではなく、日本文化を共有し、信頼を築く場でもあります。海外進出を検討する企業は、これを単なる販促ではなく「文化交流と市場開拓の接点」と捉え、積極的に活用することが求められています。
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